祖谷(いや)のかずら橋は、平家一族の哀話を秘める、秘境“祖谷”にあるかずら橋です。「かずら橋」とはサルナシ(しらくちかずら)などの葛類を使って架けられた吊橋のことで、祖谷のかずら橋もサルナシから作られています。
歩くと揺れて、しかも木と木の間から下を流れる川が見られるという、スリル満点でもあるこの橋。昔はこの地帯の唯一の交通手段だったようです。
平家が架けた?植物でできた橋
場所は徳島県の秘境・祖谷(いや)。この地域には古くから、源平合戦に敗れ、落ち延びてきた平家が隠れ住んでいたそうです。
このかずら橋は、かつて空海が村人たちのために架けた橋という伝説がある他、追手が現れたときにすぐに切れるように、平家が植物を使って作った橋だ、という説がよく知られています。
もともとは7~13ほど同様の橋が架かっていたそうですが、現在では残っているものは少ないです。
このかずら橋は現在も四国産のかずらを使って作られており、観光客も多いため、老朽化して切れてしまわないよう、3年に一度新しいものが作られているそうです。また、何度も更新され新しいものにはなっているものの、国指定重要有形民俗文化財となっています。
祖谷のかずら橋は、岩国 (現・山口県)の 錦帯橋 ,甲斐(現・山梨県)の 猿橋とともに、「日本三大奇橋」のひとつとしても知られています。(※富山県の愛本橋を日本三奇橋のひとつに数える場合もありますが、現在は流失しているため、祖谷のかずら橋などが代わりに日本三奇橋に数えられるのが一般的です)
このかずら橋はシラクチカズラ(重さ約6トン)で作られたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m。現在、橋の周辺は整備されており、大型バスや自家用車で訪れることができますが、かつては崖を通らなければたどり着けない「秘境」だったといいます。しばらくの間、深山渓谷地帯の唯一の交通施設だったようです。
かずら橋は一方通行となっています。平家伝説の残る「琵琶の滝」がすぐそばにあり、かずら橋を渡ってすぐに左に50mくらい行くと、落差約50mの滝が現れます。
名物は郷土料理・祖谷そば
秘境・祖谷に時間をかけて行くからには、その土地ならではの食べ物も堪能したいですよね。祖谷はそばで有名ですが、その由来は、源平合戦に敗れた平家が祖谷に逃れてきた際に、そばの実を栽培し始めたことがきっかけといわれています。
祖谷は米が育ちにくい地域でもあることから、育ちやすく、栽培期間も短いそばが主食として親しまれるようになっており、太くて短いことが特徴的な「祖谷そば」はこの地域の人のソウルフードとなっているようです。
つなぎはほとんどないのも特徴的。「かずら橋」観光の際には、ぜひこちらのそばも味わってくださいね。
祖谷のかずら橋へ行くときの注意点
山奥で、近くには滝もあり、渓谷のため涼しそうなイメージですが、夏に行く際には念のため熱中症対策はしっかりしましょう。また、祖谷のかずら橋はかなり奥まった場所にあるので、日帰りの場合は特に、時間をそれなりに確保する必要があります。
橋を渡る際に、足下の木と木の間は空いていて、人が落ちるような隙間ではないですが、かかとの覆われていないサンダルなどを履いていった場合には落ちてしまう可能性があります。決して歩きやすい橋というわけではないので、ヒールもおすすめできません。歩きやすいスニーカーなどで行くようにしましょう。
また、高いところが苦手な方にとっては、下を流れている川が足下からも見えるため、怖さも倍増かもしれません。とはいえ、一方通行で、怖いからといって途中で引き返すこともできないようです。高いところが苦手な自覚がある方は、それなりの覚悟をして挑んだほうがよいかも?
橋が想像以上に揺れることでさらなる怖さもありますが、植物でできているといっても欄干はしっかりとしているので、掴んでも落ちる可能性はありません。途中で怖くなってしまったら、しっかり欄干を掴んで渡るのがいいでしょう。
車で行く方への注意点もあります。山道で、かつ曲がりくねっている道を通ることになるので、運転に慣れていない方は特に注意が必要です。行きは上り坂がきつく、馬力のない軽自動車などで満席で行く場合などには、ちょっと大変な思いをすることになるかもしれません。逆に帰り道は、下り坂にくわえて曲がりくねった道となるので、スピードの出し過ぎに注意してください。
祖谷のかずら橋 基本情報
所在地:徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2
営業時間:4月~6月:8:00~18:00/7月・8月:7:30~18:30/9月~3月:8:00~17:00 ※毎日19:00~21:30の間かずら橋をライトアップします(渡橋はできません)
定休日:なし
料金:大人(中学生以上): 550円/小学生: 350円/幼児:無料
駐車場あり
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